調べてたら脱線してた(1)
結論を先に書くと、有力情報なし。
ただ、調べてて色々と出て来た事を忘備録として残します。
因みに、鉄道とは全く関係無く、ほぼ米軍戦闘詳報の話。
昭和22年に撮影されてる航空写真を見てみると、全く同じ場所に建物はあるんだけど、上から見て左側の、現榎原駅を象徴する三角屋根が見当たらないんですよね。建物の影からも判断できるので、やっぱりこの後一度建て替えしてるのではと。 pic.twitter.com/RhV9I4sWD3
— よろづのかるみ (@calmicco) 2019年11月13日
より深く知りたいと思ってたので、良い機会だと自分でも調べ始めた。
最初は、台風被害?と調べ始める…南郷町で土砂崩れも有ったらしいけど、この線は薄いかな?と。
谷之口に新駅建設の要望が戦前から出ていた旨を、よろづのかるみ先生が言われていたので(よね?)、当時の国会議事録、国鉄関連書類書等も探すが、榎原駅の修繕に関する記述は見付けられず(他の駅のは見た)。
現在は消されたけど、当時のWikipediaには『空襲による銃撃跡』と言う様な記述が有った。
大堂津駅へ行った際、駅舎,枕木に銃撃跡は見当たらなかったけど、現在は取り換えられた木製電柱に、銃撃痕と思しき孔は有ったので、榎原駅も同様に空襲を受け、その修繕で『あの三角屋根』になったのかな?と思い付いた。
※昭和22年の空撮写真では普通に屋根は有るけど、不鮮明なので仮修理屋根の可能性も有るかと考えた(戦後の資材不足~と言う文言も有った)。
ついでに言うと、日南市HP『市のあゆみ』に1952年4月12日 南郷駅改築の記録有り。
その改築振りから「南郷駅は徹底した爆撃を受け、あのコンクリート製駅舎になったのでは?」と言う事も頭に浮かんだ。
「隣の駅だし『行き掛けの駄賃』と榎原駅も空襲してない?」と、更に空襲説へ傾いて行く。
宮崎県の空襲で検索すると…
上記の日南市の内、南郷町の空襲が1945年の7月18,20,30日。
18日には『南郷町谷之口で列車及び南郷駅付近を襲撃』とある。
そのまま線路を進むと、榎原駅になるので「コレで真相に近付けるのでは!?」と。
神戸市中央図書館で、『国鉄の空襲被害記録』(1976年刊 日本国有鉄道施設局監修)を閲覧するが、南郷駅周辺の空襲は記載なし。
その本。
昨年の11月に行って見た、鹿児島駅の件も載ってない。
もっと言うと、先日の鹿児島駅の慰霊碑
— けでんと増21号🤐 (@963DM1) 2020年1月4日
7/27の空襲で12名が亡くなり、「鹿児島駅は壊滅した」と迄記されてるけど、その空襲も全く載ってない
西部戦線異状なし…かよ?
敗戦間際+敗戦後の混乱も有っただろうけど、ちょーっと幻滅でした(過度の期待はしちゃいかん好例
↓ pic.twitter.com/uvJst31Gd4
国鉄監修でも当てに出来ない?
「アメリカ側の記録って無いの?」と、アメリカの公文書館でググるが…よく判らない。
普通に色々ググってると、何故か日本の国立国会図書館所蔵資料に辿り着いた。
国立国会図書館デジタルコレクション
→マッカーサーの画像【日本占領関係資料】
→米国戦略爆撃調査団文書
→艦載機戦闘報告書
→1940~1949
→1945
で絞って行って、”Aircraft Acthion Reporrtとタイトルが付いてるのを見て行けば、「あー、コレか!」と言うのが見られる筈。
因みに、ブログ貼り付け等の二次利用は、ガイドラインを守れば可能な資料も有る…と言うか、此処に貼ってるのは可能分。
で、国立国会図書館デジタルコレクションの中で1945年7月で抽出した結果:487件を、一通り確認して行く。
一通り確認と言っても、攻撃目標が明記されているので、九州以外の地域はスルー…の心算が、やはり身近だったり行った場所だと気になり、細かく見てしまい先に進めない。
英語が解らないなりに報告書を見て行くと、空母の作戦行動報告書と、飛行隊単位で出撃毎の報告書が有った。
【ACTION REPORT】が空母で、当り前だけど艦名、期間、行動した海域と空母の位置図。
作戦行動の時間、目標、戦果、損失、燃料/弾薬の使用量…等が日誌的に書かれているのと、各項目の一覧。
特攻機による被害状況写真も入ってた。
コレが期間にもよるのだろうけど、大体80~100ページ位。
で、出撃毎の方が【AIRCRAFT ACTION REPORT】と言う表題。
7月18日では、目ぼしいのが見当たらず。
7月30日の日付で、鉄道に関係する怪しい報告書を見て行く。
1枚目
※国立国会図書館デジタルコレクションより
https://dl.ndl.go.jp/titleThumb/info:ndljp/pid/4014501
先ず、Ⅰ.GENERAL は概略かな?
戦隊名、所属(空母or陸上基地)、離陸した日時と地点(陸上基地からでも記入)
作戦名…例えば『Escort photo planes to kyusyu.JAPAN』だと、恐らく写真偵察の護衛。
『Fighter sweep over Southern KYUSHU』だと、九州南部の制空権確保…何だ?
航空優勢の獲得?正式にはどう言うんだ?
兎に角、日本本土へ飛んで行って迎撃機が上がって来たら、それを墜とす任務。
Ⅱ.OWN AIRCRAFT OFFICIALLY COVERED BY THIS REPORT.
この報告書部隊の所属機。
今見てるのが、形式:F4U-1D、所属:VMF-224、機数:16、敵機と交戦:なし、攻撃参加:8、爆装/雷装なし、ヒューズ設定…これは多分、爆弾の遅延信管かな?別の報告書では、型番とか『A1.01 delay』。あと、魚雷の設定深度と思われる数値(フィート数)等が載ってた。
機種はF4Uでも書き分けられてて、F4U-4とか、FG-1,F3Aって表記も出て来る。
コルセアの一括りにせず、製造元で分かれる別名称で記入されてた。
Ⅲ.OTHER U.S. OR ALLIED AIRCRAFT EMPLOYED IN THIS OPERATION.
この報告書作戦行動へ参加した味方飛行機で、機種、所属、機数、基地又は空母。
このVMF-224と合同で書かれている、311,441飛行隊の報告書にも、逆に224飛行隊が記入されている…が、他に合同作戦の有った報告書では、3部隊の内2部隊の報告書が抽出されても、1部隊だけ出て来なかった事が有る。
恐らく紛失だと思う…実は『未だ公開出来ない内容』って事は無いよな。
で、残りのVMF-311,-441の、国立国会図書館デジタルコレクション、リンク先が下の二つ。
dl.ndl.go.jp
参加①VMF-224(F4U-1D×16)
②VMF-311(F4U-1C×16)
③VMF-441(F4U-1C×7,F4U-1D×3,FG-1D×2 計12)
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:F4U-1s_1944_NAN7-8-84.jpg
USN / Public domain
VMF-224の報告書ではVMF-441は16機と記入(実際は12機)…「何処を見とんの?」って話。
VMF-441の報告書のみ、PBM飛行艇×2機を『EMPLOYED』欄へ記入。
任務欄もVMF-441のみ『援護』なので、正しいのかな?
でも、①②制空、③撮影機+救難機の援護任務も、最初からか?が不明。
Ⅳ.ENEMY AIRCRAFT OBSERVED OR ENGAGED(By Own Aircraft Listed in Ⅱ Only).
会敵/交戦した敵機だけど、上記Ⅱ.に記入した自分の飛行隊限定って意味かな?
右端(g)CAMOUFLAGE AND MARKINGの項目に、『All plannes,the customary brownish with green mottled pattern.』(茶と緑の斑迷彩?)とか、茶色一色って報告も有ったと思う(あまり真面目に見てなかった)。
敵機種はコード名記入(零戦=ZEKEとか疾風=FRANK)なので、米軍機のコード一覧のページを開いといた(暗記してない)。
確か、100式司令部偵察機も出て来て、「ホントかよー?」と思ったけど、防空型も同じコードみたいなので、そっちだろうな。
Ⅴ.ENEMY Aircraft DESTROYED OR DAMAGED IN AIR(By Own Aircraft Listed in Ⅱ Only).
交戦して被害を与えた敵機でしょう。
( )内はⅣ.と同じ。
ここを徹底しないと撃墜機の重複が出て来て、戦果の過大報告が発生し易くなるよな。
何に乗ってて、誰が撃ったか?と、(c)の『WHERE HIT,ANGLE』には、7時や6時と角度。
大体、当り前だけど6時,7時が多く、角度は30°以内が多かったかな?(印象←これも当り前かも?)
2枚目
※国立国会図書館デジタルコレクションより
https://dl.ndl.go.jp/titleThumb/info:ndljp/pid/4014501
Ⅵ.LOSS OR DAMAGE,COMBAT OR OPERETIONAL,OF OWN AIRCRAFT(of those listed Ⅱ only).
自分達の機体損失から(機体に関してと、搭乗員で記入欄は別々)。
例で使っているのは、エンジン不調より上か。
次の欄に『Forcd water landing』と有るので不時着水?してるし(後で『墜落』って書き方になってた)。
Ⅶ.PERSONNEL CASUALTIES(in aircraft listed in Only; identify with planes listed in Ⅵ by Nos.at left).
Ⅵに挙げた機体搭乗員の損害。
搭乗員欄には、Missing In Action=作戦行動中行方不明や、Killed In Action=戦死の文字が結構出て来てた(この報告書では、Missingのみ)。
他の報告書で、『Missing In Action』の記入後、手書き等で「潜水艦にて救助」「PBYにて救助」と書き加えられてたのも有った。
日本を空襲したパイロットなんだけど、その”Rescued”の文字列を見た時、何故かホッとした…不思議な感情だと思う。
Ⅷ.RAND,FUEL, AND AMMUNITION DATA FOR PLANES RETURNING
往路距離、復路距離、滞空時間、入れて行った燃料量、消費燃料量、使用弾数,ロケット弾。
使用弾数も、口径毎の記入欄が有る。
.30,.50,20mmに、ロケット弾や爆弾,魚雷。
で、F4Uで出たのに20mmの欄に数字が入ってて、「記入ミス?」と思ったら…「そうだ、有りましたね!」と思い出した。
だから、機種もF4Uだけじゃなくて、その後ろも記入してたのか!と。
子供の頃、コルセアの20mm搭載型と普通の(?)12.7mm×6+ロケット弾搭載可。
「どっちが有用か?」で、議論程じゃないけど話した事を思い出した。
当時、子供向けに『ゼロ戦のすべて』的な本に、「20mm機銃は弾頭に徹甲、焼夷、炸裂を使えて云々~」→「だからゼロ戦はスゴイのだ!」とか書かれてて、それしか知らない子供(僕)は、「コルセアも20mmの方良くね?」とか思ったりした。
後年、12.7mmにも色んな弾頭が有った事を知るのですが…。
Ⅸ.ENEMY ANTI-AIRCRAFT ENCOUNTERED(Check one block each line).
撃たれた対空砲火についての記入欄。
遅延信管砲弾で口径75mm以上、着発信管の口径20~50mm、6.5~13.2mm機銃の項目に分け、夫々『なし』『しょぼい』『そこそこ』『きっつー』でチェックを入れる?
ココを読むと、意外と対空砲火が有った事に驚く。
Ⅹ.COMPARATIVE PERFORMANCE, OWN AND ENEMY AIRCRAFT(use check list at left).
味方機と敵機で気付いた事を書いてね!って事か。
確か「割と早く撃って来た」とかも見たと思う。
現場で気付いた声を拾って、全体へ周知しようって意図かな?
丁度良い例が有った。
※国立国会図書館デジタルコレクションより
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/4005711
書き出すと
The F6F-5 was able to turn inside of the Frank,Oscar and Tojo.
で、20mm機銃搭載で間違いなし?早よ燃える?…防弾とかちゃんとしてなかったっけ?(英語よく解りません)。
で、報告書の3枚目へ。
この辺で分けて、調べてたら脱線してた(2)へ続く。