部屋とミニカーと僕ちゃん

ついさっき、仕事で独り暮らしのお婆さんちへ行った。
仕事は若い子に任せ、自分は世間話の相手になってた。

所謂文化住宅ってトコで、今はその階にはそのお婆さんだけ。
先日迄は、お隣に男の子兄弟の居る家族が住んでたが、引っ越して今は空き家。

引っ越し当日、4歳くらいになる男の子が、そのお婆さんちに、自分の靴とミニカーを持って来て、靴は玄関の隅っこに、ミニカーは居間の窓際に並べた。
お婆さんは、「引っ越すんやから、他の荷物と箱に入れとき」と言ったが聞かない。
その子のお母さんを呼んで来て、「引っ越すから置いて行けない」事を説明して貰ったが、仕舞いには泣き出して、どうしても靴とミニカーを置いて行く！と聞かなかったそうだ。

お婆さん、お母さんに「この子のメッセージでしょう」と、靴とミニカーはそのままに。

今も可愛らしい靴は玄関で、ミニカーは居間の窓際で、男の子がいつかまた、お婆さんちに遊びに来るのを待っている。